臨床研修病院群プロジェクト 一般社団法人 群星沖縄臨床研修センター

むりぶし総診(群星沖縄|総合診療 専攻医合同プログラム)

1. はじめに:総合診療の“芯”をつくる、沖縄発の育成プログラム

むりぶし総診は、「日本版ホスピタリストを育てる」ことを中心に据えた総合診療専攻医プログラムです。
病院という組織の中で、医療の“質”と“流れ”をデザインし、現場を前に進めることができる医師。その核となる思考力と判断力を、沖縄という多様な医療環境の中で鍛えていきます。

総合診療は守備範囲が広いからこそ、学び方を誤ると「何でも少しできるが、決めきれない」状態に陥りがちです。

むりぶし総診が重視するのは、経験の量ではなく、“考え方の型”と“判断の筋力”を確実に身につけること。症状の解釈、優先順位づけ、チームとの合意形成、退院後の生活を見据えた設計――これらを日々の臨床の中で再現性高く積み上げていきます。

沖縄は、急性期・慢性期・在宅・離島・救急など、医療が抱える課題が凝縮された土地です。多様な現場が近い距離に存在するからこそ、総合診療の「つなぐ力」を実地で鍛えることができます。

むりぶし総診は、複数の医療機関が横につながる合同プログラムとして、各施設の強みを生かしながら、専攻医が“総合診療医としての芯”を育てる場を提供します。
単なる“連携”ではなく、病院群として人を育てるプロジェクト。複数施設をまたいでも学びがブレず、成長が積み上がる仕組みを整えています。

2. むりぶし総診が目指す専攻医像:病院の「芯」となる日本版ホスピタリスト

むりぶし総診は、「日本版ホスピタリストを育てる」ことを明確な目標に掲げています。
病院という組織の中で、医療の「質」と「流れ」をデザインし、現場を前に進めることができる医師。入院診療を軸に、診断・治療だけでなく、意思決定の整理、多職種連携、退院支援、安全と質の改善までを一貫して担える医師、その総合力を3年間で鍛えます。

総合診療は守備範囲が広いからこそ、必要なのは知識の量ではなく、“判断の筋力”と“つなぐ力”。むりぶし総診が考えるホスピタリスト像は、次の能力を備えた医師です。

・不確実性への対応:情報が限られた状況でも、臨床推論の筋道を立て、患者の安全を守り抜く
・シームレスな医療設計:病棟・救急・外来・在宅を分断せず、連続した医療として設計し、退院後の生活まで見据える
・チーム・マネジメント:多職種・他科・家族と協働し、複雑な状況でも意思決定を前へ進める
・質の還元:学びを“形”にして残し(症例報告・発表・論文化)、病院全体のレベルアップに貢献する

むりぶし総診では、幅広い経験を積むだけでなく、判断の深さを言語化し、再現できるレベルまで磨くことにこだわります。
目の前の患者を診る臨床力と、チームや組織を動かすマネジメント力。この両輪を備えた“総合診療医としての芯”を育てます。

3. 研修の考え方:3年間を「あなたの目標」から逆算する

むりぶし総診は、3年間を固定の型にはめるのではなく、専攻医一人ひとりの目標から逆算して研修を設計します。専属メンターと定期的に振り返りを行い、現在地を確認しながら、必要な経験と学びを積み上げていきます。

目指す方向性は多様です。

・【病院総合診療・経営】 入院診療と急性期の判断力を核にしつつ、病院経営や組織変革(立て直し)の視点も養いたい
・【家庭医療・地域医療】 外来・在宅・生活背景への介入を強め、地域全体の健康を支えたい
・【離島・僻地医療】 限られた資源での安全な意思決定力を高め、地域医療の最後の砦になりたい
・【アカデミック】 学術(発表・論文)を軸に、臨床の問いを研究に育てる力を伸ばしたい

むりぶし総診では、これらを「どれか一つ」に限定する必要はありません。
臨床研修の枠にとらわれず、病院経営のプロフェッショナルや行政に“弟子入り”するような独自性のある設計も可能です。

研修は「回ること」ではなく「積み上げること」。
目標 → 計画 → 実行 → 振り返りを回し続けることが、最短距離になります。

【病院総合診療・経営】を志向する専攻医にとって、病院を前に進める手段はいくつもあります。その中でむりぶし総診は、入院診療を軸にした総合力を「現場で回る形」に落とし込むために、DPCからアプローチする視点を重視します。DPCは単なる算定ではなく、入院診療の中で「意思決定の整理」「多職種連携」「退院支援」「安全と質の改善」を同時に進めるための共通言語になり得ます。

具体的には、日常診療の延長線上で以下のような改善を組み立てられる能力の習得を目指します。

・入院後早期に主病名・重症度・併存症を整理し、治療計画と退院戦略を設計する
・退院遅延の要因を多職種連携や院内動線の観点から分析し、課題を解消する
・記載精度(CDI)の向上と標準化(パス運用)を通じて、収支適正化と医療安全を同時に底上げする

また、こうした取り組みを座学に留めず、病院経営のプロフェッショナルや行政に弟子入りするように臨床現場で学ぶ設計も可能です。既存の取り組みを理解した上で次の一手を提案し、実装まで繋げられることが、日本版ホスピタリストの価値だと考えています。

「離島×僻地:共通スキル+離島のシビアさで判断が鍛えられる」について:離島診療と僻地診療は、限られた資源の中で不確実性を扱い、検査・搬送・治療の優先順位を合理的に決めるという点で共通しています。特に離島では、地理的・時間的制約から意思決定の重みが増します。その環境は「不確実性のマネジメント」「合理的な検査選択」「リスクを見越した早期介入」といった、病棟総合医に必要な判断能力を高い密度で鍛える場となります。

4. 学びの中核:毎週のレジデントカンファレンスで「型」を作る

臨床で経験したことは、忙しさの中で流れてしまいがちです。むりぶし総診では、毎週のレジデントカンファレンスを学びの中心に据え、経験を“型”として定着させます。

大切にするのは、次のような臨床の基礎体力です。

・目の前の情報から、どの仮説を立てるか
・何を優先し、何を後回しにするか
・どの検査・治療が患者の安全に直結するか
・バイアス(思い込み)をどう避けるか
・チームで合意形成をつくる時、何を言語化するか

総合診療の強みである「サイエンス」と「アーツ」を往復しながら、臨床推論・フィジカル・現実的な判断を磨いていきます。必要に応じて専門家や外部講師の知見も取り入れ、現場で“使える”学びに落とし込みます。

5. 学びを加速させる仕組み:教育回診と共有された“型”

むりぶし総診の特徴は、カンファレンスだけではありません。

教育回診の場で、フィジカル、プレゼン、臨床推論の筋道を「その場で」鍛え、フィードバックを受けて改善する――ここに伸びのエンジンがあります。

特に重要なのは、教育回診が“根性論”ではなく、型(フォーマット)を共有していること。

年齢・主訴・現病歴・ROS・身体所見・問題リスト・鑑別・検査計画…といった流れを徹底し、情報の出し方にブレが少ない。だから指導が具体的になり、改善が速くなります。

外部(国内外)の視点が入ることで、“ローカル最適”に閉じず、総合診療の標準へ引き上げられるのも特徴です。

6. 研修の具体像:2週間サイクルで「鍛える → 言語化 → 実装」

研修は「現場で鍛える → 振り返って言語化する → 翌日から実装する」のサイクルで設計しています。

・毎日:指導医との病棟ラウンド(ベッドサイドで思考プロセスを共有)
・週1回:症例カンファレンス(推論と意思決定の構造化)
・2週に1回:教育回診(プレゼンテーションと診察の型を習得)

このサイクルを繰り返すことで、経験が流れず、確実に“臨床の型”として積み上がります。

7. 学術支援

総合診療は「よい臨床の問い」を持ちやすい一方で、忙しさの中で形にできず終わってしまうことも多い領域です。

むりぶし総診では、月1回のオンライン学術勉強会を設け、症例報告から臨床研究まで、“形にするプロセス”そのものを支援します。

・問いの立て方
・文献検索と背景整理
・症例報告の構成、抄録の作り方
・研究計画の立案
・発表資料の作り込み
・論文化を見据えた文章化

「やってみたいけど、どこから始めたらいいか分からない」専攻医が、無理なく一歩を踏み出せる場として機能します。

「大学院に行かずとも、日常診療から論文化」
むりぶし総診では、大学院進学を前提とせず、日常診療の中でClinical Question(CQ)を見つけ、症例報告・臨床研究・Quality Improvement(QI)として形にし、学会発表や論文化につなげる力を育てます。臨床の振り返りを「文章化できる思考」に変換することが、病棟総合医(日本版ホスピタリスト)の中核スキルの一つであると考えています。

8. 合同プログラムの価値:複数施設の強みを横断して学ぶ

基幹・連携施設

中頭病院

【住所】
〒904-2142 沖縄県沖縄市登川610
【指導医】
與那覇 忠博(自治医科大学)
【病院の特徴】
・離島僻地診療所のバックアップを担う地域医療研修
・救急車とウォークインを分離した救急部門を含む外来診療(年間救急車 約8,000台)
・総合内科・感染症・ICU部門などによる臓器横断型ホスピタリスト研修

ハートライフ病院

【住所】
〒901-2492 沖縄県中頭郡中城村伊集208
【指導医】
佐藤 直行(神戸大学)
【病院の特徴】
・ホスピタリスト研修
・POCUS(Point-of-Care Ultrasound)研修
・診断困難例・感染症・膠原病の診療

浦添総合病院

【住所】
〒901-2102 沖縄県浦添市前田1-56-1
【指導医】
金城 俊一(徳島大学)
【病院の特徴】
・主治医として活躍する内科研修
・「訪問診療」を専門的に学べる
・運動器診療特化型スポーツ総合診療医/Physician型スポーツ総合診療医を目指せる

南部徳洲会病院

【住所】
〒901-0493 沖縄県島尻郡八重瀬町外間171-1
【指導医】
西島 功(総合診療科部長/心臓血管外科部長)平成14年 山梨医科大学卒
妹尾 真美(呼吸器内科部長)平成17年 福井大学卒
今村 恵(総合診療科医長)平成26年 浜松医科大学卒
【病院の特徴】
・「それはうちじゃない」が存在しない=守備範囲が広い総合診療
・症例数が多く、“なんでも診る・診れる”マインドが身につく
・救急〜病棟まで一貫した診療+手技(内視鏡/IVR/麻酔など)も鍛えられる

中部徳洲会病院

【住所】
〒901-2393 沖縄県中頭郡北中城村比嘉801
【指導医】
(Coming Soon)
【病院の特徴】
(Coming Soon)

沖縄協同病院

【住所】
〒900-8558 沖縄県那覇市古波蔵4-10-55
【指導医】
城間 政尚(琉球大学)
【病院の特徴】
・救急診療部門も含む総合診療(年間救急車 約4,500台)
・耳鼻咽喉科以外の科を院内で回れる/感染症内科にも注力
・多彩な離島研修(宮古病院・多良間診療所・奄美中央病院・徳之島診療所)

糸魚川総合病院

【住所】
〒941-8502 新潟県糸魚川市竹ケ花457-1
【指導医】
樋口 清博(新潟大学)
山岸 文範(富山大学〔富山医科薬科大学〕)
松木 晃(富山大学〔富山医科薬科大学〕)
中田 直克(富山大学〔富山医科薬科大学〕)
【病院の特徴】
・K.A.N.I.プロジェクト(K:Knowledge/A:Alimentary tract system/N:Numerous challenges in the area/I:in ITOIGAWA)
・消化器内視鏡+外科系管理を含む、病院総合医育成(Aの要素)
・地域課題解決にチャレンジする総合診療医育成(Nの要素)

純徳会田中病院

【住所】
〒660-0084 兵庫県尼崎市武庫川町2丁目2番地
【指導医】
高田 史門(大阪公立大学)
【病院の特徴】
・Generalist to Leader Program (GLP) ~総合診療×病院経営の二刀流育成コース
・Hospital CEO Bootcamp ~現場で学ぶ病院長マネジメント
・高田流DPCマネジメント研修

協力型施設

・友愛医療センター
 〒901-0224 沖縄県豊見城市与根50-5

・大浜第一病院
 〒900-0005 沖縄県那覇市天久1000

・沖縄県・鹿児島県の離島診療所

9. 働き方と継続性:研修を「続けられる」ことも実力の一部

医師のキャリアは一直線ではありません。家族、健康、ライフイベント、環境の変化――それらを抱えながらでも、総合診療を学び続けられる設計が必要です。

むりぶし総診では、子育て支援、メンタルヘルスケア、時短勤務など、状況に応じた働き方への配慮を重視します。

また、経験医師が総合診療へコンバートする「リカレント学習」も歓迎し、学び直しを支える文化を大切にします。

これは“甘さ”ではなく、長期的に良い医療を提供し続けるための基盤です。持続可能であることは、総合診療医の重要な能力の一つです。

10. 研修を検討する方へ:このプログラムが合う人/合わない人

むりぶし総診が合うのは、例えばこんな人です。

・診断名だけでなく「今この患者に必要なこと」を決めきれるようになりたい
・連携・調整・合意形成を、苦手ではなく武器にしたい
・病棟/救急/外来/在宅を“つなぐ”視点で、総合診療の軸を作りたい
・学術を避けたいのではなく、「形にするやり方」を学びたい
・自分の目標に合わせて研修を組み立て、納得感のある3年間にしたい
・目の前の患者だけでなく、病院や地域医療の「仕組み(システム)」そのものを良くすることに関心がある

一方で、「決まった型のカリキュラムに沿って、指示通りに回れば良い研修がしたい」というタイプだと、メンターと一緒に研修設計を作るプロセスが負担に感じるかもしれません。

「用意された研修をこなす」のではなく、自らの目標に基づき研修をデザインすることを重視します。その挑戦を、病院群として全力でバックアップします。

11. 3年後の到達目標

・入院患者の全体像を把握し、根拠と優先順位に基づいた判断ができる
・合併症や社会背景を含め、退院後を見通したプランを自力で構築できる
・現場の疑問を、症例報告や研究などの学術活動へ昇華できる

12. 見学・相談について

見学やオンライン相談では、「どんな3年にしたいか」「何が不安か」を一緒に整理します。

研修は“入ってから頑張る”のではなく、“入る前に設計しておく”ことで伸び方が変わります。迷っている段階でも構いません。あなたの志向(病院総合/家庭医療/離島/学術/両立)に合わせて、むりぶし総診での学び方を具体化していきます。

ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォーム